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2015

北山修氏の特別講演(2015年2月)

2015年2月7日、大津プリンスホテルで開催された「アール・ブリュット ユートピアの創造主たち」展で行われた北山修氏の特別公演「生々しい何かと強迫〜なぜ、作品に巻き込まれるのか〜」が、2015年3月6日のKBS京都のラジオ番組「Glow〜生きることが光になる〜」で放送されました。

『完全主義とも言われる、何度も反復する、というのは、「失敗への不安や、なんらかのもっと深刻な不安を垣間見ることができる」「この作家はなにか不安にかられているじゃないか、強迫というところに巻き込まれているんじゃないか」、という解釈の仕方がある。

これは防衛としての身を守るひとつの方法であり、それを取り除くと、たいへん大きな混乱が生じるおそれがある。アプローチとして覆いをとらない。』

などが主旨だったと思いますが(録音内容の放送は次週も続きます)、その前に北山さんの言葉に対する考え方をおっしゃっていました。

『…簡単に言葉にすることがいいのか、みたいなことをいつも考えていて、言葉にしないまんま置いとく、っていうことがすごく大事な時間ではないかと思う。

いろんなメディア、音楽とか演劇とか絵画とか箱庭療法とか、媒体と呼んでもいいですけど、私たちの治療方法のツールは「言語」です。「言葉にする」ことが私たちの目標。日本人はどっちかっていうと「人がコミュニケーションするときは言葉じゃないよ」と言うけども、まだまだ心って言葉にされることを待っている部分が非常に多いのではないか、と。言語化をいうのが非常に価値の高い到達点として目指して治療を実践しております。

ですから夢についても、あるいは幻想についても失敗したことだとか、全部言葉にしてもらって治療を行なっていく、っていうのが私の営みなんです、毎日ね。

でもここへ参りますと、言葉以前というものに出会うわけです。言葉にならないなにものか、っていうものに直面するわけですよね。

私は一方で作詞家という仕事を昔からしておりまして、今も歌をつくっているんですけども、言葉を紡ぎだすっていうことと、言葉以前との間のへだたり、というものに、ここに来るとホントに出会う、直面するんですね。

だから言葉以前というものがまずある、ということ。そして、言葉にしないで置いておくことができたらやがて言葉が生まれてゆく、っていうことをみなさんもひょっとしてこの作品に出会うと経験されると思うんですね。

なので、言葉にしないで置いておいていただきたい、一言で言ってしまえば、そこが今日私の申し上げたいことで。そうゆうことってめったに経験しない、この頃すぐに言葉にしてしまう。あるいは言葉にしてしまってから、なんでこんなこと言ったんだ、と考えてしまう。言葉のほうが先行して言葉が上滑りになる、ということを経験されているだろうと思います。私なんか口から先に生まれてきた、って昔から言われてきたし、「北山先生は口だけや」ってよう言われたもんですよ。親父からも言われました。

意味があって、そのための表現を模索する、ってこと、言葉を探すことは大事だなあ、と思うんですね。

これから申し上げることは、私が考えている言葉にしたことなのであって。みなさんは同じ経験をなさっても違う言葉が生まれるかもしれないし。それを連ねていくと「物語」とも言いますが、その物語がみなさん、違っていて当然だとも思うんですね。というのは、生々しい体験が先行してやがて言葉になっていくプロセスで「個性」ってものが光るんだと思うんですね。というようなことが前置きです。』

「ボーダレス・アートミュージアムNO-MA」のサイトから聴くことも可能です。